要件定義をできる人材とは?

要件定義書や、要件定義を含むRFPを作成するにはどのような知識や経験を持つ人が必要なのでしょうか?

残念ながら、システムに詳しければ誰でもできるというわけにはいきません。
どのような要件定義でも共通して必須となる条件は、

「実際の要件定義の場面に少なくともアシスタントとして立ち会った経験が有る事」
「要件定義書をもとにシステム設計をした経験がある事」

の二つです。

前者は当然の条件です。
要件定義は発注者の業務的・人間的な要求を引き出しつつ、開発側にとっても役立つ情報に定義・分類していく複雑な作業です。
要件定義を行う工程をパターン化することは難しいため、書籍での学習やセミナーを受けただけのレベルでは決して習得できるものではありません。
ましてや発注者の要求が漠然としている場合や組織内で要件が纏まっていない場合、更にシステム化に逆行する企業文化を持つ場合など、たとえ要件定義のプロが取り組んでもなかなか纏まらない場合があります。

もう一方、あまり認識されていない要件定義を行うために必要な条件が「システム設計の経験」です。

何故システム設計の経験が必要なのでしょうか?
それは、要件定義書がベンダーが行う設計に対する指示書となるからです。
最終的に完成する要件定義書は、「システムの設計を一通りできる内容」に纏まっていなければなりません。

そういった意味で後者の設計経験は非常に重要になります。

以上の2つの条件が揃わない限り、要件定義書とは似て非なるものができてしまいベンダーは混乱し、正しい見積やスケジューリングができなくなります。

必要な知識や経験の次は「必要な能力」です。
要件定義を進めるには要求から「要件を導き出す力」が重要です。業務知識も重要ですが、もし業務知識だけで要件を導き出す力が無いような場合は、ついつい先回りして誘導尋問のようになってしまいます。
結果を急ぐ事によりその組織独自の大きな要件を見落としてしまう可能性が大きくなります。
逆に発注者側としては、相手が「業界に詳しいITコンサルタント」などを売り文句にしている場合でも自社の要求をベースとした要件を網羅的に伝えていく心がけが大切です。

「要件を導き出す力」についてはノウハウが多岐にわたるためここで詳細には触れませんが、一つだけマイナーながら重要で難しい例を挙げます。
その例とはシステム化の検討に関係するメンバーをミーティングに招集する作業についてです。
教科書には書かれないような事ですが、これがなかなか難しく重要な作業なのです。
ひと括りに「関係者」と言えども皆それぞれの立場があり別々の本業を持っています。そんな彼らにコンスタントに検討の場に出席してもらう事は至難の業なのです。皆様が思う以上に一般的に要件定義の重要性は理解されておらず、目的もなかなか理解できないためどうしても本業を優先されてしまいます。

要件定義を進めるにはトップの方を含めたプロジェクトチームを事前に編成し、各担当者の何%の時間を頂くかの約束を取り付けますが、そこまでやってもやはり本業を優先してしまう担当者も多いためトップダウンによる強力なプッシュを根回ししておく事・し続ける事が重要となります。

このようなアレンジ能力、そして如何に重要な作業を行っているのかを伝え続けられる能力は非常に大切です。

そして、せっかく忙しい最中に出席してくれた方々には、出席した事に対する意義を感じてもらう事が次のミーティングに協力して頂き、システム完成後も愛着を持ってシステムを利用して頂くキーポイントとなります。
これらは相手が大人数であっても1人であっても変わり無く重要なことです。

このような幅広いコミュニケーション能力、それに加えシステム開発の知識・経験が求められる作業ですが、システム業界の中でもこのような作業をこなせる適任者を確保・育成するのは非常に困難な状況です。

しかし、そのような適任者を中心に要件定義を固めておけば、システム作りで失敗したり開発期間が延びたりするリスクが減るだけでなく、ベンダーからの見積り金額も大きく下げられる事は前述の通りです。
そのような観点からシステム開発を依頼する場合やパッケージ製品を導入する際には第三者コンサルタントを加える事は必須だと考えられます。

1)必要な人材やコンサルタントを確保し、
2)自社内で要件定義又は要件定義レベルのRFPを素早く固め、
3)数社のベンダーへコンタクトを取る

この流れを取りまとめる事ができる適任者がどうしても見つからない場合や確保できない場合には当社 IT化支援ラボまでご相談ください。

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要件定義 RFP