失敗を回避できない原因とは?
さて、システムを導入する上での最重要ポイントをざっと説明しましたが、それらを意識するだけでも失敗する可能性をかなり減らすことができます。
やるべき事の概要が見えてきた次は、「事前検討」を実施する為に必要な条件について説明します。
<事前検討をするための条件その一>
決済権を持つ方が事前検討の重要性を認識していること
この条件を満たさなければ、事前検討に必要な人材や費用を確保できません。
小さなシステムであっても最低一人の担当者を長時間確保しなければなりませんし、大規模システムの導入になると各部門の代表者の手配から始まり、役員や経営者の参加も必要になります。
ここで必要となる「事前検討」のコストは、システム開発の予算と切り離して確保しておく事を強くお勧めします。
もし、あなたが決裁権を持つのであれば、これは必要経費である事をご理解下さい。システム化全体にかかるコストの10%~20%程度を切り出して事前検討に使うだけで、あらゆるリスクを大幅に減らす事ができるのです。
<事前検討をするための条件その二>
担当者が具体的な進め方や纏め方を知っていること
この条件を満たせていない場合も、当然的確な事前検討を進めるのは難しいでしょう。しかしITコンサルタントはそのような時のために存在します。うまく活用されることをお勧めします。
一般的には事前検討を省略して直接ベンダーへシステム開発を依頼してしまいがちです。
単純な計算ではコンサルタントに支払う費用をカットでき得をしている気分になります。
しかし、「検討不足の状態でベンダーへ協力を依頼する」ということは、ベンダーを意思決定者の一人として加える事を意味します。
そうすると何が起こるでしょうか?
システムは純粋に発注者の利益を追求するものであるはずが、「ベンダーの利益も加味されたシステム作り」になる可能性が高まってしまうのです。
このような観点では、一言で「コンサルタント」と言ってもベンダーに所属しているコンサルタントでは意味がありません。
では結局のところ、失敗しないためにはどうすればいいのでしょうか?
最も理想的な方法は、「ベンダーなどから完全に独立したコンサルタント」と事前検討を行った後にベンダーと話を詰めるという順序を踏むことです。
独立したコンサルタントを最初に活用する事については、上で紹介している「ERPプロジェクトはこうすれば成功する」にも同様に記載されており、ERPの世界を中心に標準の方法になりつつあります。
知識と経験のある第三者を味方につけ、「丸腰での勝負」を避ける事が大切です。